篳篥奏者の中村仁美さんから、
管楽器専門月刊誌「パイパーズ」5月号(2013年)の特集記事のコピーが届きました。
タイトルは
「篳篥の音が消えてしまう!」
雅楽、ひいては宮中祭祀での奏楽も滅びの道へ?
です。
特筆すべきはInternational Double Reed Society(IDRS=国際ダルブリード協会)からの檄文の掲載です(英文、和文)。
海外にも知られることとなった、鵜殿のヨシ原の危機。
「IDRSは(中略)、断固として、淀川河川の保護と保存の呼びかけを支持いたしますーーそこには篳篥の魂が宿っているのだから」
という一文で結ばれる文章には、とても力強い「応援」の気持ちが伝わってきます。
日本人がこの問題を知らなくて、どうします!!?
先日、ツィッターでもつぶやきましたが、鵜殿ヨシ原の葦だけではなく、笙の竹も、漆も、絹糸も、樺も籐も、危機的状況です。
おそらく20年ほども前から、危機的状況ということは言われ続けてきていて、、、結局、状況は良くはならなかったということです。
不思議なことに、「鵜飼」は「御料鵜飼」と言って、宮内庁の管轄によって行われています。
宮内庁の御料場があるそうです。
なぜ、皇室と深い関わりがある雅楽、その雅楽を演奏するために不可欠な、鵜殿のヨシや、竹などの材料をこれまで宮内庁が庇護してこなかったのでしょうか。。。
わたしの笙を作ってくださった、八幡暹昌さんに、もう20年ほど前に伺ったお話です。
煤竹は、ご存知のように古い農家、民家の囲炉裏の天井などに使われていた、普通の竹です。それが何十年、時に何百年と煤に燻され、煤竹に変わるのですが、「日本列島改造論」の頃、地方の民家が次々と壊されてしまい、八幡さんはお一人でお役所に抗議に行かれたそうです。
「このままでは、わしらが作る楽器の材料がなくなってしまう。生活がかかっているから、なんとかしてほしい」と。
でも、なんの対応もなかったとか。。。
もう、政治家や御役所には、任せておけないんだな。。。と思います。
「トップダウン」(上からの指示待ちではなく)、「ボトムズアップ」(下から上へ)の時代。
ここ数年、もう雅楽を続けていくには、いわゆる「環境問題」、農薬の問題やら、水質汚染の問題やら、挙げ句の果てには原発の事故ということまで起きて、さらには高速道路の建設の問題やら、、、をクリアしないといけなくなってきて。。。
雅楽を続けていく、伝統を守る=生活を根底から改革していく
ことになってくるんじゃないかしら、と思っています。
最近のコメント