楽器のお作法
笙の扱い方にはお作法があり、楽器の温め方と同時にお教えしています。
形ばかりのもの、と考えてか、だんだんと粗雑に扱うようになる人が多いのですが、笙は知れば知るほどに繊細な楽器です。
笙の古典調律は、音律がぴたっとあって、あの透明感が出るので、できるだけ狂わせたくないのですが、やはり演奏しているうちに、湿気がのってきてわずかずつながら狂ってきます。。。(笙だけでなく、洋楽器の管楽器も長時間演奏しているとピッチが上がってきたりしますね)。
でも笙のピッチはちょっとした衝撃などでも変わってしまうことがあるので、楽器を置く際にはやはり袋の上に置きたいです。
直置きは厳禁です!!!
昔、東京楽所のリハのときに多忠麿先生に呼ばれて、慌てていたので袋も楽器ケースもそばになく、胡床の上に笙をすっと置いて、立ち上がってしまいました。間髪を入れず、そばにいらした東儀兼彦先生に「楽器を直に置くのはやめなさい!」とすごい剣幕で怒鳴られてしまいました。
恥ずかしかったの、なんの。
笙のお作法では、袋の上に笙を置く向きさえも決まっていて、それがどれほど楽器の「事故」を防いてくれているか。。。
うっかりひっかけたり、取り落とす事故が、それによって減らされていると思います。そばを離れていても、よそを向いていても、いつでも楽器が必ず同じ位置にあるのですから。
古いしきたりのようなものでも、意外と合理性が潜んでいることがあります。
でも、何十年か続けていないと、わからないこともあります。
「ばかばかしい」と思えるものもあります。
そして中には明らかに非合理的に感じられるものもありますから、それはそれで、「時代のふるい」にかけられていくしかないのでしょう。
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