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2015年12月21日 (月)

笙のリード 温度管理

先日、生徒さんからお稽古日前日にメールが届きました。

帯がはずれて楽器がばらばらになってしまい、しかも乙のリードが見当たりません、とのこと。

幸いなことに楽器はなんとか組み直したけれどもリードがない???

消えるはずはないので、、、とお伝えしましたら、袋のなかから、出てきたようです

翌日、調律の道具を持っていって、リードを拝見しましたら。。。

あら、錘(しず、ともいいます)がへたっている。。。

温め過ぎたことがあるのでしょう、じわっとにじむように錘が溶けかけていました。

ただ、重症ではなく(錘が溶けて流れていたり、などのことはなく)、そのまま管に取り付けて鳴らしてみました。

ところが、吹いて、吸ってみたところ。錘がとれて、わたしの口の中に!!!

幸い、舌に残ったので飲み込みませんでしたが、、、

実は鉛の粉を混ぜてあるので、錘は結構、毒性があるらしいのです。。。

一瞬、慌てました!!!

(このあたり、金属の毒性について専門家に伺いたい、と思いながらもう何年も経ってしまっています。。。)

さて、こういったことは(リードがはずれる、錘が落ちる)、下記のような状態で起こります。

1、楽器を温めすぎると蜜蠟が溶けたり、ゆるんだりする。
錘が溶けて流れると、リードの振動部分が塞がり、鳴らなくなる。
そこまでいかなくても、もちろんピッチは狂ってくるでしょう。

2、さらに温めすぎると、リードをとめてある蜜蠟もとけて、リードが流れてしまう。

3、逆に比較的固めの(粘性が低い)蜜蠟でリードを止めていて、冬場の非常に温度が低い状態で楽器を温めていないと、何かの拍子で「ぱりっ」とリードがはがれおちてしまうことがある。

あるいは何年も調律をしていないと蜜蠟がぱさぱさになり、やはりちょっとした衝撃だけで、ぱりっと落ちることがある。

4、また、温め過ぎもよくないけれど、温めたものの、それが十分でないと、青石が湿気を吐き出しきれず、リードに残ったままになる。
そうなるとピッチが狂ってきたり、一時的に鳴らなくなる。
また青石の下端の部分から変色してくる。
リードの軽い腐食のような状態。
こうなってくるとピッチのほうは相当狂ってきます。またもう温めても元に戻りませんので、いわゆる「洗いがえ調律」を行なわないと、リードはきれいになりません。

*ここでいう「蜜蠟」とは、純粋な蜜蠟でなく、松脂とミツバチの蜜蠟を笙の調律のために何十時間もたいたものをいいます。

とにかく、「これでもか」というくらいに温度管理に関して、生徒さんたちに細かくお願いしているのは、上記のようなことを防ぐためです。

口を酸っぱくしていいますが、「お姫様のような楽器」ですから、「ご機嫌をとるのが大変」なのです

どうか大切に大切に、扱ってあげてくださいね。

お稽古のほうは、その場で錘を作って、無事にできました。

青石は辛うじてこすれていませんでしたので。。。

お姫様の「ご機嫌」は、なんとか直りました(笑)。


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