スタンフォード大の生徒さんたちに講義を終えて
6月3日、無事に終了しました、スタンフォード大での雅楽に関するレクチャー。
スタンフォードから数十名の生徒さんたちが、日本に1ヶ月ほど滞在、京都を拠点としながら、様々な日本文化を体験するプログラム。
2013年に続き、授業をご依頼くださったのはカプシンスキー先生です。
カプシンスキー先生はUniversity of the Pacificのローズ先生と共同で、下記のHPも作ってくださっています。
https://ccrma.stanford.edu/groups/gagaku/
カプシンスキー先生は作曲家、ピアニストでもいらっしゃるそうです。
上記のHP、わたしもまだ全部は読んでいませんが、とても興味深いです。
雅楽の概説的な知識が得られるとともに、わたしにとっては、
「海外の研究者からは雅楽は、どのように見えているのか?」
「それはわたしたち日本人と違うのか?」
という問いかけに対する答えの端緒が、得られるからです。
あと、英語で雅楽を説明したいかたは、上記HPはすごく参考になると思います。
(日本語訳のページもありますから、そちらと合わせて)。
雅楽の、英語による説明は、ネット上で拝見する限り、「悲惨」というか、「悲壮感」が漂っているものすら、あります。。。。 正直、ないほうがいい。。。というものが大半。
しっかりしたものを出されたいのなら、プロの翻訳家のネイティブチェックは(もちろんかなり高いですが)、必須です。
さて、話を元に戻すと、海外の大学から、雅楽に対してこれだけの関心をお寄せいただくのは非常に嬉しいです。
ケルン大でしたか、伶楽舎さんが定期的に指導に行かれて、成果をあげていらっしゃいますし、雅楽はやはり、数回鑑賞しただけでは、理解できない音楽だと思います。雅楽はようやく、日本に残された貴重な世界「遺産」として認識されつつあるのですが、生きた芸能として、音楽として、舞として、非常に魅力のあるものである、、、という感覚ではまだまだ伝わっていません。
「歴史的に古い」、だから「すごい(らしい。でも聞いていて、わからない、つまらない、眠くなる、拷問のようだあ、、、二度と聞きたくない)」という感覚。
日本人でも、いきなり古典の演奏会に行くと、大半のかたがそうです。
上記のHPでも、実は実際に演奏している側からすると、「これは、分析の方向性がおかしいのでは」と思える箇所に何度か、遭遇しました。
各楽器のスペクトラ分析も、それなりの結論は出ているものの、本質から外れているのでは?と思える箇所、数カ所。
うーん、、、これは、時間がかかりますが、もしやりとりできれば、指摘していきたいところではあります。。。
たとえば、3日の授業の際に、笙の奏法で「指穴を擦りはなすときに出す、中途半端に聴こえる音」の話になり、カプシンスキー先生は、「この奏法は、実際の古典の演奏では使いません」とご説明。
わたしは、YES, we DO!!!! (いいえ、使ってますよ〜!)と絶叫。
生徒さん、爆笑。。。 (ごめんなさい、カプシンスキー先生)
これ、知らない人(意識していない、という意味でも)も多いかと思いますが、この指穴を擦っていくタイミングやテンポ、合奏全体のテンポにかなり影響しています。
CDの録音などでは、ほとんど聴こえないと思います(これは、CDの録音技術の限界というよりは、音に対する指向が違うから、と指摘しておきました)。
カプシンスキー先生は、「現代音楽の奏法の一つ」と勘違いされていたようです。
こういったことに対する理解は、かなりこぼれ落ちてしまっているなあ、、、、と感じています。
はあ、「頭のよい」人たちって。。。。
(以下、続く。と、いうか、「続けたい!」このところすごく忙しいので、希望的記述であります)
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