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2013年9月26日 (木)

雅楽は難解。。。

そうなんです、「笙の響きと雅楽の愉しみ」のようなレクチャーをなぜ始めたか、そもそも、個人で雅楽や笙の普及活動になぜ乗り出したか、というのは、いろいろな理由があるのですが。。。

おととい、ある音楽家のかたとお話をしていて、(ああ、やっぱり。。。でも、わかります。。。)と思ったのが。。。

彼女は、何年か前に、コンサートホールで雅楽を聴かれたのだそうです。

演奏団体は素人ではなく、かなり名前のあるところ。
第一線で活躍している団体のひとつです。

でも、(ああ、わたしには無理だなあ。。。もう2度と聴きに来ないだろうなあ)と思ったとのこと。

お互いに楽器を演奏しながらいろいろ雑談していたのですが、音楽性も感受性もとても豊かなかたです。

「実は今日ねえ、、、雅楽の演奏者に会うって、なんだかすごく億劫だったの」とおっしゃられて、さらに、(。。。わかります!)と思いました。

わたしも、学生時代の最初の1年、雅楽合奏の授業で、(とりあえず、1年間で単位をとったら、履修は止めよう)と思っていましたから。
大学の副科の授業で選択してみたものの(わたしは楽理科の出身、当時東京芸大には雅楽専攻科はなかった)、合奏はなんだか長いし、辛いし(笑)。

学生主体の合奏ですから仕方なかったのですが、、、

ただ、1年後から、だんだんと面白くなってきたのです!
そして、そのまま、気がついたらもう、30年ほど。
自分でもびっくり、です

さて、その音楽家のかたも、笙を間近でお聴かせしたり、その魅力をお伝えしたりしているうちに、目がだんだんと輝いてこられました

「こんなに面白いものだったなんて!」

(そうでしょう、そうでしょう 

そうなんです。こんな面白いものをたくさんの人にお伝えしない手はない!
こんな貴重なものを「授かった」のだから、たくさんの人にお教えしたい!

それが、わたしが個人で普及活動を始めたきっかけ、といいますか、動機、です。


雅楽は、小さい頃から触れているかたがたならいざ知らず、実は非常に難解な芸能だと思います。

わかってくると、これほど面白いものはないのですが、ストーリーがある能楽、文楽、歌舞伎、また、歌詞があるその他の邦楽ジャンルに比べて、鑑賞の「とっかかり」がないと、まったく「取りつく島」がありません。

雅楽のコンサート会場に足をお運びいただいても、(なんだか、ありがたい)と勉強した気持ちにはなりつつも、感動はなく、2度とご来場いただけないことも多々あります。

習っている人間には魅力に感じられることも、かなり音楽に精通している人たちにとってさえ、雅楽は「どう聴いていいのか、わからない」音楽です。

ただ、ちょっとした解説を加えて、「聞き手」の意識を変える(大げさなようですが、雅楽の魅力となるツボを聴く前にお伝えする)だけで、まったく反応が変わるのです。

わたしが舞台に立ち始めた大学時代は、本当に雅楽は人気がなく、楽部の演奏会なども、どこでもチケットがたくさん余っているような状況でした。多少、コンテンポラリーのほうでは活気がありましたが、古典のほうは、ほとんどまったく、と言っていいくらいに、客層が育っていなかったように思います。

皇居の楽部の演奏会場に「楽師募集」の張り紙が貼られていたような時代。

本当に子供の頃から触れている方々には、その難解さが逆に理解できないから、一般の人にどう伝え、アピールしたらいいのか、わからないのでは。。。とも思います。

世の中には例えばバレエ、例えばミュージカルと様々なエンターテイメントが質の高い舞台を提供するためにしのぎを削っています。

そんななかで、雅楽に特に魅力的を感じていただけるようにするのは、難しいのではないか。。。。

(もっとたくさんの人に受け入れていただくには、どうしたらいいのだろう。。。)と、いうことを無意識のうちにも随分と考えるようになっていました。

自分がお稽古を受けたり演奏をしたりしていて、感動する部分。それを「言葉」に置き換えるとか? お聴きいただくシチュエーションを整えるとか?

いろいろな状況設定のバリエーションが、構想として思い浮かんでいます。

また、今にして思えば、雅楽の普及のために、人生を賭けておられた、多忠麿先生の最晩年、間近でお仕事をさせていただいてきた、その影響もあって、啓蒙や普及活動に自然に力が入るような気もします。

もっともっと、大切に扱われてもいい芸能だと思っていますので。。。

10

まずは、小さな試みですが、少しずつ、スタートしていきます。。。

「また足を運びたくなる」コンサートを目指しています。

どうぞよろしくお願いいたします。


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