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2011年3月 1日 (火)

国立劇場 蘇合香(2) 音響

以前の散吟打毬楽の公演のときにも書きましたが、大劇場は音響的にはかなり辛いところがあります。

わたしは1階の6列目でした。
大体舞楽のときには2階席を取ることも多いのですが。

このあたりは比較的、生に近い音が聞けていたように思います(はて、そういえば、2階のスピーカーの位置は?)。

舞楽の場合、もちろん楽部でもそうですが、舞人の後方に管方がならぶため、余計に音が引っ込んでしまいます。
さらに、国立の大劇場の場合、天上が高いにも関わらず、三方向を布で囲われてしまうため、笙にとっては非常に不利な状況がそろってしまうのです。
あの、天上のほうの布ぐらい、せめて外せないものかと。

もちろん、篳篥、竜笛も、同様の環境にいるため、同じように不利、ですが、笙の音質は、やはり反響のよい場所で活かされます。

「散吟打毬楽」の公演のときは、小劇場でした。
岩波滋先生の笙がすばらしかった、と書きましたが、これが大劇場でしたら、そのすばらしさが半減されていたのでは、と思います。

「雅楽はもともと、屋外で演るものでしょう?」というご意見もあるかと思いますが、完全なオープンスペースで、しかも神社・仏閣などの環境下で演奏され、舞われるのとでは、「空気感」「雰囲気」が圧倒的に違います。
むしろ、拡散し、広がっていく伸びやかな音に魅力が感じられ、細かい点は気にならなくなります。

劇場でやるからには、音の繊細さや、演奏者の音色の違い、演奏の巧みさ、などがきれいに聴こえるように、そろそろ音響の配慮がなされてもいいのではないでしょうか。

それに、雅楽は屋外だけでなく、昔の殿上人の優雅な遊びとして、室内でも演奏されていました。練達の士が集まっての合奏会なども催されていたようでしたから、音の聴き合いなどは、結構細かいところまで、気にされていたと思います。

最も、PAは非常に難しいと思います。
大太皷のような突発的に音量が上がる楽器と、笙のような細やかな音量の楽器があるのですから。

昔、楽部がサントリーホールで毎年公演を行っていたとき、忠麿先生が、ホール側が行った録音のカセットテープを分けてくださいました。
第1回目の雅楽公演の録音は、第1部管絃と第2部舞楽、で、考えられないくらい、録音の音量レベルに差がありました。

どうやら、大太皷の最大音量が、録音レベルのピークとなるようにして、第2部を録ったようでした。
音割れを防いでのことだったのでしょうが。。。

かたや、昨年の平城京遷都1300年の楽部公演の際は、片側の大太皷だけが音が異常なくらいに、割れていました。
「音量」の問題ではなく、おそらく、マイクが何かに接触していたのだと思います。

大太皷の音が響くたびに、不快な音が流れました。
あれは、演奏中でもPAの人が走っていって、直すべきだったと今でも思っています。

(次に続く)


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