還城楽の太皷は、
ぞくっとする。
ただならない、何かを感じる。
「ろくろ」の部分が、特に、そう。
忠麿先生の、最後の舞台は、還城楽の三ノ皷だった。
術後から半年もたっていなかった。
銀座雅楽堂で、確か学生さんたちのための、還城楽1曲のみの演奏。
わたしはちょうど先生の真後ろで、笙を吹いた。
先生を応援するつもりで、一生懸命に吹いた。
先生は、手術を受けられてから何かが変わってしまっていた。
もともと目の光の強い先生だったが、さらに鋭さが増していた。
(それはみんなが感じていたことだった)。
今でも後悔していることがある。
そのとき、先生と会話をかわさなかったことだ。
先生は、何度も何度も、わたしを見ていた。
わたしは笑顔を返すだけで、何もお話をすることができなかった。
ただ、(ご復帰をお待ちしています)、という気持ちを込めた。
先生は、目で会話ができる人だったからーーー。
不器用なわたしは、何かお話してもそらぞらしいように思え、また、先生はそのまま、舞台に復帰してくださると、固く信じていた。
それが、永遠のお別れになってしまうとは、夢にも思わなかった。
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