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2010年11月25日 (木)

CD「日本古代歌謡の世界」 ライナーノートから(3)

(続き)

そこで我々のなすべきことは、現存する古代歌謡をできるだけ数多く、一流の奏者をそろえ、音楽性、芸術性を追求することにあると考えた。
曲数については、ほぼ満足した。

全曲とはいえないが、全体の十分の八を収録することができたのである。

とくに、神楽歌はほとんどの系統が収録できた。

東遊(あずまあそび)壱具(いちぐ)。
久米歌(くめうた)壱具。
大直日歌(おおなおびのうた)。
倭歌(やまとうた)。
明治以来録音の機会のなかった田歌(たうた)。
誄歌(るいか)全曲。

その他、催馬楽、朗詠と国風歌舞(くにぶりのうたまい)(日本古有の歌曲)以外の分野の歌曲も収録した。

−CD「古代歌謡の世界」 ライナーノートから 総論 多忠麿  (続く)・・・

このCDは4枚組だが、こうやって書き出してみても、演奏、そして録音の作業だけでも、どれだけ大変だったかが推察される。

わたし自身も東京楽所のCDのレコーディングには、参加したことがあるが、先生のOKが出ないと、それこそ何度でも、録り直しになった。
同じコロムビアから出ている、「源氏物語の音楽」のときは、確か、太皷の音が上手くいかず、何度も何度も録り直しになり、それでもその日は先生の満足がいくトラックが録れず、別の日に録音が持ち越されたように記憶している。

先生は、必ず、現場にたくさんの譜面を持ち込まれ、演奏は厳密にチェックされた。
息を飲むような緊張の演奏。
張りつめたなかで一曲終わり、いわゆる「金魚鉢」の向こうで忠麿先生のOKのサインが見えると、楽師の先生もわたしたちもほっとしたものだった。。。

また、先生の場合は録りっぱなしということはなく、その後の徹底した音響チェック、編集作業にもかなりの労力を割かれていた。

実は、この「録ったあと」の作業がどれだけ膨大か、ということを、わたしは自分のCDの製作で思い知ることになった。。。


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