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2010年10月 3日 (日)

お見舞い&介護

祖母のお見舞いにいってきました。
平塚の、新しいケア施設です。

祖母は2割ほど、おかしなことを言うようになりました。
今日は、わたしの顔を見るなり、眠い目をこすりこすり「沖縄の人がいたでしょう、あなた、あわなかった?」と。

お、おきなわの人?
施設の人かしら?

「沖縄の人が、あなた、大勢、来ていたでしょう。
 あの人たちは、ほら、みんな食べていくのが大変だから、ここにくるの。
 でも、あたなが来るのを察知して、いなくなっちゃったみたいなのよ」

「ふーん、わたしはあわなかったけど。。。」

なんだろう、いわゆる「お迎え」が来ているのかしら。。。
老人のための施設だから、なくなった人はたくさんいるはず、だし。
(むしろ、必ず、誰かが亡くなっている部屋、なんだろうな)。

わたしは霊感「ゼロ」の人間ですが、それでもときどき、「うわ」と思うことはある。
でも、変な「気の」ようなものは、祖母のいる部屋からは感じられない。

その後、しゃべっていると祖母はだんだん、いつもの祖母の顔になってくる。
食事をしては寝て、起きては食事をしてまた寝て、で、目が覚めると、時々つじつまが合わなくなる。。。
もうだんだん今日という日が、何月の何日かも、祖母には関係がなくなっている。
夢の世界とこちらの世界をさまよっているようにも見える。

93ともなると、片足はすでに、あちらの世界に踏み入れているのかな。。。

足のオイルマッサージをして、お湯で拭いていると、祖母はぐっすり眠る。

眠っているうちに、わたしは駅まで戻って、自分用のお弁当を買ってきた。2時間ほどで帰るつもりが、やはりぽつねんと部屋にいる祖母が気の毒で、帰れない。

部屋では、ヘルパーさんが車椅子にのせてくれていて、小さなテーブルを前に、ちんまりと祖母が座っていた。
祖母の食事はまだ届いていなくて、自分の部屋なのに、なんとなく所在なさそうだった。

祖母の食欲はまだまだ旺盛で、わたしのお弁当の何品かも、嬉しそうに食べた。
施設から出た食事の献立は、今日は麻婆豆腐だった。
辛いね、といいながら、残したら、、、残しても、いいのよ、、、と言うと、今、食べてみると、もう辛くない、と言う。
こっちの(別の皿)を食べたり、こっちのを食べたりすると、もう辛くない、と言っては少しずつ、スプーンですくって口に入れている。

なんのかんのいいながら、全部平らげてしまった。

食事を終えて、「さあ、わたしもそろそろ帰るね」というと一瞬、「どうして」と言う。

寂しくなった。

祖母は絶対に弱音を吐かない。
わがままも言わない。
「そう、じゃあ、気をつけて帰りなさい」と言い直す。
それで、よけいに寂しくなる。

いつもの祖母だ。

駅までは10分ほど歩く。
ほとんどお店などの無い道をずんずん歩いていく。
家もなく、寂れた感じの街道で、道行く人も、なんとなくよそよそしい。

ここは、どこなんだろう。

一瞬、そんな思いが頭のなかをよぎっていく。

ここはどこなんだろう。。。

わたし自身が、夢のなかに足を一歩、踏み入れてしまったような感覚におそわれる。
信号を待っているうちに、車が自分のほうに向かってくるような気がして、たじろいだ。

祖母は、もうすぐ、いなくなる、という現実感と痛みがそのまま、ゆらりとゆらいでいくような不思議な感覚。

沖縄の人たちというのは、誰なんだろう。

本当は、わたしたしとちょっとずれた世界にゆらゆらといて、コンタクトする機会を待っているのだろうか。

10月にしては暑いのに、日が暮れるのはずんずん早くなる。

次は、いつ来られるかな。

駅に近づくにつれて、少しずつ、感覚が戻ってくる。
私たちだって、本当には、どこにいるのかは、知らないし、答えられない。
いつ、「ここ」に来たのかだって、本当には、誰もわかっていない。

もしかしたら「オキナワの人たち」のほうがわたしたちよりもよくわかっているのかもしれない。

東京まで1時間半。
帰り道を急ぐ。



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