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2010年2月25日 (木)

国立劇場 神楽歌

http://www.ntj.jac.go.jp/cgi-bin/pre/performance_img.cgi?img=5241_1.jpg

神楽歌の公演は久しぶりです。
普段、宮中で行われる神楽歌は、私たちは耳にすることはできません。

神様のための舞と歌ですから、演者以外は、誰も観客がいないのです。

このような公演の機会以外、外に出ることはまず、ありません。

チケットをお持ちのかたで、「予習」されるかたは、当ブログの左サイドに出ています、CDのなかの「古代歌謡の世界」をお聞きになられるといいでしょう。

東京楽所 -

このCDは、恩師の多忠麿先生が最晩年に製作・監修された、最後のCDです。

コロムビアから出されている、先生がご監修された一連のCDは、スタジオ録音のため自然さに欠ける、などのご批判もありますが、今、改めて聴きなおしてみると、名演も多々あり、非常に貴重な録音と思います。

特に、笙はきれいに録音され、よいバランスでマスタリングされているものが多いと感じています。先生は毎回「録りっぱなし」ではなく、その後の音のチェックや監修も、とても丹念にされていました(CDというのは実はこれが、大変な作業なのです)。
わたしも参考にしている演奏がいくつもあります。

「古代歌謡の世界」では、笙の演奏こそ少ないものの(神楽歌には笙は入らないので)、懇切丁寧な解説と、細部にこだわった編集など、「神楽歌」の伝承の「楽家」としてのプライドと使命感が伝わってくるお仕事です。

個人的な思いいれかもしれませんが、先生は「使命感」だけでなく、この音や舞を心から愛しておられたように思います。

このCDを聴くたびに、先生の貴族的な風貌やお声が、ありありと思い出されます。

わずかに1日早く、先生は、このCDの完成を待たずに急逝されました。

平成6年、ですか。
まだ昨日のことのようにも思い出されます。

4枚組みで、やや高価ですが、ぜひともご購入されて聴かれることをお勧めいたします。


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