抜頭・解説 1 (雅楽大系解説より)
天平8年(736年)、今の南ベトナムにあった*1林邑国の帰化僧*2Fattieが伝えた、林邑八楽のうちのひとつ。一人舞で、舞人は別装束(べつのしょうぞく)に裲襠(りょうとう)を着し、三角の牟子(むし)をかぶり、威容の面をつけ、手に太鼓の桴(ばち)様のものを持って格闘する様相をなして、活発に舞う。
その舞態のなかに、両脚を交互に交差するように踏む(「喜躍八折」という)のが特技であり、最後に舞台中央に跪き、手にせる桴で敵を刺す如き態をなす・・・
*1 林邑国は後に安南国の一部として順化(ゆえ)と呼ばれた。当時インドの仏教を伝えていたので、有名。
*2 帰化僧・仏哲(ぶってつ)。
この解説では仏哲しか名前が挙がっていませんが、この林邑楽というのは、通常、聖武天皇の天平8年(736年)8月に天竺(インド)の僧・バラモン僧・菩提僊那とともに伝えたとされています。
林邑八楽には、他に「蘭陵王」や「迦陵頻」、「陪臚」があります。
いずれも、雅楽曲のなかでも個性的で、ある意味「あくが強い?」曲が多いように思います。
それにしても、ベトナムとインドのバラモン僧から伝承されている舞だなんて、なんとエキゾチックなんでしょう。
雅楽を「和」の世界と呼ぶのに、抵抗感を感じるのは、こういった部分です。
あ、もちろん「和」の部分もたくさんありますが、もちろん。
でも、ルーツはやはり「異国」の音楽です(ただし国風歌舞は除いて・・・)。
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