八幡さんの管
京都の八幡さんの管をお持ちで、かつ八幡さんのリードがついていて、調律でお困りのかたは、八幡さんご本人か、わたしにご相談ください。
一般に行われている調律方法とは違う方法で調律しないと、リードが鳴ってきません。
(ただ、非常に手間がかかる方法なので、時間のあるときでないとお受けできませんが)。
八幡さんの楽器は組みもきれいで、音も自己主張をしない音ながらまとまりがよく、奥ゆかしい品のよさを感じます。
延の管絃吹などではずいぶん助けられてきました。
ただ、残念なことに後継者がいらっしゃいません。
わたしの管も長年吹いてきて、数枚、小じたが鳴らなくなってきているので、取り替えていただきたいのですが、八幡さんご自身がお忙しいため、そのままになってしまっています。
後継者不足と材料の確保は、慢性的に日本文化維持の問題となっています。
そういった観点から、伊勢神宮の「ご遷宮」のシステムを考えてみると、本当によく考えられていると思います。
20年ごとに遷宮することで、職人さんたちの技が、必ず伝承されていくのですから。
昔、昭和天皇が崩御されたときに、大葬の礼や大嘗祭などを執り行うにあたり、古式を体験している楽師がいなくて、困っている、というお話を故・多忠麿先生が話しておられました。
文書(もんじょ)だけでは、残せないこと、たくさんあります。
音楽での「譜面」もそうですね。譜面はあっても、実際にどのように演奏されていたのか、歌われていたのか、わからない。。。
伝承で中心になるのは「人の技」で、譜面や記録では、実はないのです。。。
わずか100年に満たない年月でも、こういったことが起こりえます。
1200年以上、、、伝承されてきている音楽、わたしの好きな東大寺修二会もそうですが、やはりその貴重さを思わずにはいられません。
まずは、伝統芸能をもっと「元気に」することが、大切ですね。
今、淀川の葦(篳篥のリードに最適とされる)を保護するために、何万という署名が集まっていますが、雅楽から環境問題が語られるのは、とても自然なことと思います。
音楽や文化と政治は、昔は切っても切れなかったのですしね。
「笙・・・楽器に関して」カテゴリの記事
- 笙の、松ヤニと蜜蝋について(2018.08.23)
- 質問にお答えします。。。笙の調律の頻度(2017.12.05)
- お稽古の合間に。。。(2017.10.18)