東大寺 修二会 国立劇場公演
昨日から何度も、この公演の感想について書き直しているのに、どうしても書き終えることができない。。。
書きたいことがあまりにも多すぎて。
やはり行を舞台に乗せるのは、まず無理がある。
前回のサントリーホール講演は、憤慨していかなかった。
今回は、まずその無理を飲んだ上で、拝聴、拝観した。
何しろ女性は内陣に入れないのだから。。。
13から14回、これで修二会を見たことになるが、それでも見えなかった新しい発見はいくつもあった。所作は細かい点まで見えて、驚いてばかり。ただ、お坊様がたがとてもお気の毒に思われた。
「走り」が始まったとき、(人間は、どうしてこんなに哀しいのだろう)と改めて思った。
天上界の行を地上に降ろすために、天上界の時間に追いつくために、走って走って走って走る。地上の400年が天上界では1日。人の一生は天上界の数時間、、かげろうのようなものか。。。
全体的に鐘を鳴らしたり、沓を踏み鳴らしたり、ほら貝を吹いたりとにぎやかで音に満ちた行なのに、この行のみ、どんどん静かになっていく。どんどん音がなくなり、やがてお坊様の、足袋はだしで「すたすたすたすた」と歩き過ぎていく音のみになり、、、このぴーんと張り詰めた空気は天に近づいていく緊張感だろうか。
この祈りは、本当に神々に届いているのか。1夜のうちにもこんなにも何度も結界を張り、楔状されたお坊様がたが、世の平和、仏様の功徳を一心に祈り、伝える。。。
1258回、参篭してくださったお坊様がいらしたから、この行が続いている・・・1258年。。。神さまにしたらたった3日間。
祈りは、届いているのか。
初日、佐藤道子先生がロビーに立っていらした。
凛として、一輪の椿のようだった。
初日にもうひとり、とてもきれいな女性を見かけた。
なんでこんなに気になるのか、わからない。
白髪がきれいに混じったグレーのボブヘアで、黒か濃紺の細い縞の、素晴らしくきれいな着物姿。50代後半?
いわゆる「粋」というのと、またちょっと違う。
すきがないのに、かわいらしく、柔らかい女性らしさが漂っている。
「まわりの、空気まできれい」としかいいようがない。しっとりとした優しい雰囲気。
着付けといい、雰囲気といい、本当におきれいだった。。。
と、まあ、やっぱりお茶を濁してしまう(笑)。
どうしても、ほんとうに書きたい部分はなかなか文にすることができず、書きませんね。書くとしたらわたしの力量では、最低でも3日はかかってしまうでしょう。
ただ、あの伝承の力はすごいです。10年以上の時間をかけてみて、聴いていますが、ほとんど差が、感じられません。10年以上前に録音したテープなども残っているのですが、微妙な節回しもそのままです。
それでも、、、音律がだんだん平均律的になってくるのは・・・世の流れ、仕方がないことなのでしょうね。
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