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2009年8月30日 (日)

静かに音せぬ道場に

○静かに音せぬ道場に 仏に花香奉り 
 心を静めて暫くも 読めばぞ仏はみえたまふ (巻第二)102

○仏は常に在(いま)せども 現(うつつ)ならぬぞ あはれなる
 人の音せぬ暁に ほのかに夢にみえたまふ (巻第二)26

「遊びをせんとて・・・」の歌で有名な梁塵秘抄ですが、法文歌といって、仏法を説いた歌もたくさん読まれています。

お経と違い、やさしく柔らかな感じがしますね。

こういった法文歌と並んで、なまなましい恋の歌が並んでいるのですから・・・梁塵秘抄(今様)は奥が深いです。


2009年8月25日 (火)

新情報 11月14日コンサートの詳細追加。

11月14日、アミュゼ柏でのコンサートの詳細が決まりました

Photo_2  詳細は当ブログ
☆お・し・ら・せ☆のページでもご覧になれます。

CD「祈りの海へ・・・」の収録曲もいくつか別バージョンで採りあげたいと思います。

本当は、笙も篳篥も笛も、生の音、マイクを通さない音をお聴きいただくのが一番、の楽器です。

一般的に「和楽器」と言われているもののよさは、「洋楽器」に比べて、マイクで消されてしまうことが多いです。

マイクの性能そのものが「洋楽器」寄りなんですね。洋楽にとっての「雑音」が、和楽器にとっては「深い味わい」だったりします。

今回は生音に優れたホール(400席)での演奏です。

映像関係はまだまだ打ち合わせの最中、ですが、できるだけPA(音響)は最小限度にとどめる予定です。

ハープやピアノと雅楽器との相性の良さを生に近い音でお届けできるのが、とても楽しみです!生の「響き」、是非ご堪能いただければ、と思います。

古典も数曲演奏します。

わかりやすい解説もあります。
初めてのかたも、どうぞお気軽に足をお運びください。

予約・購入はどうぞお早めに

入場料は一般3000円、高校生以下2000円です(全席指定)。

→チケット取り扱いは柏市教育委員会文化課、詳細は当ブログの☆お・し・ら・せ☆のページへ。
発売は9月7日から。よろしくお願いいたします。


2009年8月20日 (木)

傷から生まれくるもの2

虐げられてきた民族の音楽は、
どうしてこんなに美しいのでしょう。

アイルランドの音楽しかり、韓国の音楽しかり、黒人霊歌しかり・・・

苦しくて苦しくて、もうどうしようもないときに歌が、音楽が生まれてくる。。。

沈香のお話を聞いて、苦しくなりました。
でも、傷は、やがて昇華され、人の心をなぐさめて、煙となって天に消えていく。

音も、同じ・・・


傷から生まれくるもの1

先日、お坊さんとお話をしていて、沈香(香木)のお話になり、500グラムで30万、というお値段を聞いて、ひゃー、と思いましたが。。。。100グラム6万。沈香としてはたいしたことないほう?

とにかく、もう取れないらしいですね。白檀(サンダルウッド)とともに。

以下、御香屋さんで聞いた話です。
沈香の元になる木そのものは、あちこちに生えているのだそうです。

それがなぜこれほどまでに高価に?
実は沈香の元になる木は傷がついて、それが土中で変化したものでないと、沈香にならないのです。

傷ついた木は自分を守ろうとして樹液を出します。

その樹液が土中の成分とうまい具合で結びつけば、良質の沈香になるという。。。

傷つかない、健康な木は、沈香にならないのです。。。

あー、それにしても高いなあ、沈香。。。
伽羅、白檀とともに、とっても魅力的な香りです。。。

とっても心が慰められるのですが。。。
好きだったお線香型の御香も、数年前からお値段がはねあがり、手が出ません。

薫明堂の御香、結構好きだったのに。。。


2009年8月19日 (水)

万の仏の願よりも

「日本の歴史に登場する幾多の人物の中で、、後白河法皇ほど複雑な人をわたしは知らない」 ・・・・
「後白河以上に美を理解するパトロンは、日本史上、二人とないと言ってよい」

(「京都発見」二 梅原猛)

万の仏の願よりも 千手の誓いぞ頼もしき
 枯れたる草木も忽ちに 花咲き実生ると説いたまう

                     梁塵秘抄 巻第二

千手は「十一面千手千眼観世音菩薩」。
三十三間堂で初めて見たとき、感動のあまり動けなくなった。

かなり以前にテレビで見て、うろ覚えの情報なのですが・・・


昭和のときに千一体の千手観音様の修理を行った。
そのときそれぞれの仏様のなかから願文が出てきた・・・
そしてそれは当時の高位の政治家や僧侶、貴族のものだけではなく、一般の庶民のものが多数あったという。

かなりの数の観音様が一度、焼き討ちで焼かれているから、当時のものは少ないかもしれないが、それでも最初に作られたときに行われたことにならって、庶民の願いも入れられたのだろうと思う。

いかにも、後白河法皇らしいエピソードだと思った。


2009年8月18日 (火)

☆お知らせ☆に新情報アップ。

9月21日、高麗神社というところで雅楽のご奉納があります。(詳細はウェブページの☆お知らせ☆に)。

初めて御奉仕させていただく神社さんですが、高句麗、高麗とのご縁が深い神社さんですね。
御祭神は高麗王若光だとか。
現在の宮司さまが60代目なのだそうです。

高麗の曲は、繊細できれいですよね。
やはり唐楽よりもやや日本よりな感じがします。

「李朝の白磁」などを見ていると、無駄のない簡素な雰囲気から、どうしても高麗楽が頭に浮かんできます。

そういえば、今年の文月会温習会(7月終了)の仁和楽の楽(高麗楽です)は素晴らしくよくて感激しました。

テンポ感も加の前後、まったく過不足なく、もう本当に、舞いやすかったのなんの。大ベテランの呼吸と間合いの取り方は、本当に違います。
こういうことはなかなかありません。。。

三鼓・松井北斗先生、篳篥音頭・高桑賢治先生、笛音頭・白井さん。

こういうときは本当に「一期一会」を実感します。
そして奏楽してくださった皆様に心から感謝してしまいます。。。


2009年8月16日 (日)

取材

先週、柏市の広報担当のかたから取材を受けました。今度の11月のアミュゼ柏でのコンサートのこと、などなど。

若いかたでしたが、とても熱心に話を聞いてくださり、助かりました。

趣味は?と聞かれて、困りました。昔だったら、映画とか、料理とか、お酒!とかいろいろいえたのですが。。。

映画は最近興味があるものがなくて観ていないし。。。
料理は昔はすごく好きで、かつお1匹おろしたり、とかしていたこともあるのに、今は忙しく・・・

お酒は体を壊してから飲めなくなってしまったし・・・
日本酒を愛しておりましたの
でも、今は時間がもったいないので、飲めなくてちょうどいいです。
翌日の頭がぼーっとする時間が、もったいないです。

強いていえばアロマと御香、でしょうか。
アロマはかなりはまりました。今でもラベンダー、ベルガモット、ユーカリなどベーシックなものは常備です。サイプレス、ベチバー、乳香、サンダルウッド。。。

アロマは気分療法のようにして日本に広まってしまったのでちょっともったいないですね。薬効成分がかなり強いもの、抗菌作用があるものもあるので、上手に使うだけで、生活がとても豊かに。まあ、、、植物パワー、エネルギーは、それだけではありませんが。

日本にも檜とかゆずとか紫蘇とか、、わさび、生姜、いろいろあります。
新しい畳の匂いなんかも、とても爽やかでいいですね。

御香は、、、混ぜ物が多い御香が多く、最近はちょっときついです。。。

ケミカル系の匂い、とても苦手です。
香木は素晴らしいですが、やはり高価です。沈香、白檀、伽羅。。。
でも。「香道」でなくても香木を焚いて香りを愉しむことは、ぜひとも体験をお勧めします。

ああ、でも、普通のおうちには、「火鉢」なんてないですよね。。。
笙は火鉢を使いますから。。。
香木だけ買ってきても無理かな。。。
灰があれば楽しめるのですが。。。

香木を愉しむ、その繊細さは、アロマセラピーの比ではありません。
金の何十倍もする香木を買う人の気持ちがちらっとわかります。

源氏の君もこういった香を普段から全身に焚きしめていたわけですね。
くらっときてしまう女性の気持ちがよくわかります(笑)。

残り香、なんてゆかしい言葉、今は強い香水の香りにとって代わられているのでしょう。

ちなみにわたしは笙のケースに防虫香を入れていますが、天然のものです。→香雲堂

安い匂い袋などはやめましょう。
天然のものはどんなに強い香りでも、いつかは自然に飛びます。

一度、調律に回ってきた管で、ものすごいケミカル臭の匂い袋がケースに入っていたものがありました。
開けた途端、具合が悪くなりました。
楽器にも、もちろん体にも、いいはすがありません。

驚いたことに、リードの1枚1枚にもしっかり、強いにおいがついていたのです。
外に放置しておいても、調律が終わっても、とうとう飛びませんでした。

天然ならいい、という訳ではありません。
でも、できれば、「息を吸いながらも、演奏する楽器」なので、こういった品は選びたいものです。。。

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倍音酔い

新しい曲を作っていますが、笙って本当に倍音が強い楽器です。
特に合竹にない音で、倍音をぶつけながらずっと吹いていると、だんだんくらくらしてきます。

CD「祈りの海へ・・・」の「読経」のトラックの竽の音を録音しているときは、特にすごかったです。響きのなかに埋没していくようで。
とり終わったときは完全に酔っ払ったような状態でした。

ナチュラル・ハイ☆


2009年8月14日 (金)

蜜蝋

笙の調律には松脂と蜜蝋をたいたものを使います。

自分でたいていますが、わたしとしては今だにいいものができません。
粘度の点で、あとひとつ。

昔、多忠麿先生が使っていらした蜜蝋は、安定がよく、きれいに根継ぎから剥がすことができました。割とぱりっと剥がれたのですが、でも冬場に硬くなりすぎるような感じではなく。。。

ちょっとしたことなのですが、「ほどよい」感じでした。
今、その「ほどよさ」が出せず泣いています。芸事や職人技って、実は一見なんの変哲もないことのほうが、実はすごくきめこまやかなことが隠されていたりします。

素人も、かなりの玄人も、派手なことばかりに目がいきますが。

楽部の先生方がたいていらっしゃる蜜蝋は、やはりいいですね。
歴代の先生方が火を入れていらっしゃるから。

これは昔の、楽部の先生ではないかたのお話ですが、冬用の蜜蝋と夏用の蜜蝋があったそうです。温度の変化でかなり、硬さが変わりますから。。。確かに、音にもはっきり影響が出ると思います(もちろん、リードの材質と厚さにもよりますが)。

ただ、今の世ですと、そこまでの違いをわかってくださる人が少ない・・・すると、そこまでする必要があるの?ということになってしまいます。

わたしは時間ができたら、とことんこだわってみたいと思いますが。。。自分だけのひそかな楽しみ


2009年8月13日 (木)

ひさびさに泣けました。

・・・頑丈に築き上げてきたと思ったものは、もろくて儚くて、粉々に砕けちったと思いました。窒息しそうになりながら、たくさんの手を借りて、僅かな隙間をこじ開けて、新しい風が吹き込むように、新しい光が届くように。決して忘れてはいけません。手を伸ばせば、伸ばしさえすれば、全てが目の前にあったのです。

・・・いつもずっと変らず貴方の中にあるものは、貴方が大切に守り抜いてください。・・・

高木正勝さんのコラムから。

高木さん、ありがとう。。。本屋で泣きそうになり、思わず買ってきて自宅で泣きました。

☆☆☆☆☆

ここ数日、吉兆があまりにも多いので、驚いている。
昨年、CDを作ったときよりもすごいくらい?
何だろう・・・

「人生は美しい。ベナレスは楽しい」
ブッダが息を引き取る直前におっしゃったとかおっしゃらなかったとか?

仏教とキリスト教は、ちょうど陰陽の図(太極の図)のような関係にあると思う。「人生は苦」、とする宗教と「人生は愛」とする宗教と。
どちらかを否定するのではなく、どちらもあって、本当。

でもどちらかの側に「属して」しまうとどちらかが見えなくなってしまいます。

外からの俯瞰が大事。

でも、わたしは言ってしまう、「世界はこんなにも暖かくてやさしい」と。。。

信じているから、

世界のトラウマは何億年かかっても必ず、必ず、癒されると。。。


2009年8月10日 (月)

更新が進まず。。。

8月ももう9日ですか・・・

今週は私事も仕事もあわただしく。ざっと振り返ると


4日、

小田原の山近記念病院で1年に一度の定期健診。
UAE(子宮動脈塞栓術)という手術後の2年目の健診です。

実はある意味、過去「最悪」の数値が出たものがあり、担当の先生が暗くなっていました(笑)。
でも不思議なことに、わたしは自分の人生で最も健康で活発な時期を送っています。もう、お医者様って!いくら「とっても健康で、疲れなくなりました」と言っても、先生も看護婦さんも暗い雰囲気になっているので、わたしもつい一緒に暗くなり・・・(爆)。

この手術を受けていなければ、わたしは「祈りの海へ・・・」のCD製作など、とても着手できませんでした。
何より、筋腫が元の大きさの40%まで小さくなりました。
ありがたいことです。
だから、佐藤先生、どうか暗くならないでくださいねっ

この手術、わたしはお勧めだと思います。保険がきかないのがネックですが、1週間弱で退院もでき、何より子宮を傷つけません。
そして、山近記念病院もお勧めです。術後の痛みのケアも細やかで、とても助かりました。

入院中にお世話になった看護婦さんにCDをプレゼントしたかったのですが、すでに病院を移られ、しかも行き先も不明・・・2年前、病院のベッドの上で、「退院したら、笙を世に紹介するための、CDを作りたい」というわたしの夢をきいてくれた人です。。。
無事、実現しましたよ~。

もし、このブログを奇跡的にご覧になっていたら、ご連絡ください。。。

6日、
山谷のホスピス「きぼうのいえ」でのお施餓鬼供養での奏楽。
山本雅基さん、美恵さん、僧侶の山田さん、魚尾さん、スタッフの皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。
相変わらず、皆さんほがらかで、とっても豊かで・・・

ご供養に伺いながらこちらがたくさん癒されて帰ってきました。昨年のお施餓鬼会でのボランティア奏楽が、やがてCD「祈りの海へ・・・」製作や江原啓之さんとのご縁へとつながっていきました。
・・・不思議なものです。

5日、
映画学校で勉強をされているかたの、卒業制作の映像シーンで、天女が笙を吹くシーンがあり、そのための演技指導。天女役の女性は、すずやかで笙の雰囲気にもよく合い、数十秒のシーンながら、決まっていました。音のほうも、後日、わたしのほうでつけさせていただきます。
映像にはとても興味があるので、ちょっとこれは楽しみなお仕事。

7日、
11月14日アミュゼ柏でのコンサートの打ち合わせ。
プロデューサーの和田さんとPAの中田さんと。
単に音響や映像のことだけでなく、話はあちらにとびこちらにとび。。。
でも、笙の音って、本当にPAや録音が大変なんですね。

たくさんの現場でお仕事をされてこられているお二人のお話は、とてもよい刺激になりました。和田さんは、単純なことでも、わたしの希望をとてもおもしろがって受けとめてくださいます。そしてわたしは「相手がおもしろがっている」ことがとても励みになり、次のステップの原動力となります。

中田さんは、笙も琵琶もご自分で演奏される、貴重なエンジニアさん。お話を伺っていると、レコーディング・エンジニアさんはすでに「エンジニア=技師、職人」であると同時に「アーティスト=芸術家」だとつくづく思います。

8日、
午前中は横浜鳳笙会さんでの笙の代稽古。
夜は自分の笙の生徒さんと篳篥の先生との「プチ」合奏会。
それぞれ、新たな課題を胸に秘め・・・(て、くれたのだと思います・・・)。
五常楽でパニックにならないようにしましょうね。

終了後は近くの「ムーミン・カフェ」で暑気払い。近所ですが、初めて入りました。
席に巨大なぬいぐるみが置いてあるのが、嬉しいです。
わたしのお隣の席には「ノンノン」がいました!
(新しいほうのムーミンでは、「フローレンス」というのだそうですね)。
唯ちゃん、ありがとうございました!

あ、で8月9日、って「ムーミンの日」なんですって。。。

知っていました?


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