口伝集第十一
・・・ただゆるゆるとして、のどかに節丸く、律に合て、篳篥音あるともきこえず、笛笙もそれときこえぬやうに、合をよろしく目出度く声をながながと使い、はかせのゆふゆふときこえるときはあしく、只一息に、声の助けなく、さらさらと常のことばをいう如く謡うべし。
「常の言葉をいう如く」。
今はどうしても朗々と謡いますよね。最初これを読んだときは、まったくぴんときませんでした。
「博士(墨譜)のゆうゆうと聴こえるときは悪しく」、わざとらしさを避けよ、ということだと思います。若いときから鍛錬を積んだ後白河法皇のこと、やろうと思えば、「博士がゆうゆうと聴こえる」謡いかたなど、お手のもの、だったでしょうに・・・
雅楽は、テクニックをひけらかすことや、芸を誇るような演奏を極端に嫌います。この辺は「レチタティーボ」の対極、かもしれません。。。
ちなみに、これは、「あしく」は「声をながながと使い」以降を受けているのだと思います。
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