そして笙(4)
台湾のミンイーは、日本で「舞踏」を学んだり、彼女の所属している南管の団体と能(Noh theater.と言っていました)を組み合わせて、新作の女優として参加したり、と、とてもおもしろい活動をしている人でした。
歌も楽器もとても素朴で上手。いわゆる西洋の楽譜はまったく読めないので、すべてからだで覚えてしまう、と言っていました。
...because your sound made me dance...made me move.
と彼女は言ってくれましたが、、、
この楽器はもう何十年も吹いてきたけれども、改めて、何か特殊な秘められたパワーがある、と感じました。倍音がたくさん出る、とか、ピュタゴラス音律で調律されている、とか、そういったこともあるのかもしれませんが・・・奈良時代には食器や仏具に使われていた砂張という金属のリードを使い、青い孔雀石の粉を塗布した楽器。あまり「神秘化」して考えるのもどうかと思いますが、そういった素材を使うことで、予期せぬパワーが生まれているのかもしれません。
ところがこれが、普通の雅楽合奏となると、もう笙の印象は、まったく変わってしまうんですね。きらびやかな音でありながら、すっと後ろに引いて、全体を包み込む役割をします。篳篥と笛が「喧嘩」しないように。
鳴っているのに、聴こえているのに、意識のなかでは聴こえない、不思議な楽器。つつましやかな役割。そして、出るべきとこはすーっと出てくる。
単独で演奏したときに人が感じてくれるパワー。
わたしが初めてソロで笙の音を聴いたのはTVで、宮田まゆみ先生のソロで、でしたが、やはりこのときの鮮烈な印象ははっきりと覚えています。
そして、海外だけでなく、日本でさえも、この楽器のことを知る人は、いないのです。。。中国のshengや韓国のセンファのほうが、まだ海外では知られていました。。。
とても残念に思えました。
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