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2009年5月19日 (火)

そして笙(3)

さらに、2年ほど前に行った「韓国国立国楽院」の外国人の音楽学研究者を対象としたワークショップで、非常におもしろい経験をしました。

対象は「研究職」にある人だったのですが、わたしは雅楽の奏者、ということで参加させていただけたようです。雅楽では「高麗楽」というジャンルがあり、韓国もまた日本の雅楽の「ふるさと」です。

アジア圏、ヨーロッパ圏、アメリカ、カナダ、と参加者は多彩な顔ぶれ、さらに実際には研究者に限られず、作曲家、演奏者、劇団所属者など、ユニークな人たちの集まりとなりました。

そのなかに台湾からの、「南管」と呼ばれるジャンル(南管「opera」と説明していました)の劇団に所属している女性がいました。ミンイー(明儀)という名前の、すっきり、すらりとした女性。彼女は2週間のワークショップ期間中のルームメイトでもありました。人見知りのわたしが2週間、苦労なく過ごせたのは彼女の明るくて純朴な人柄のおかげ、でもありました。

ミンイーだけでなく、何人かの参加者は、わたしが四六時中抱えている楽器が不思議で不思議でならなかったようで、あるとき「吹いてみて?音が聴いてみたい」と頼まれたのです。

滞在先のホテルのベランダで、それでは、ちょっとだけ、ちょっとだけね・・・と、まずコンロを取り出したところ、一同びっくり!!!「ええっ?何をするの?」(笑)。

仕組みやら孔雀石の話をしたら、「・・・そんなに細かいことをするの?」と驚愕の様子。普段はもう慣れているので、それほど気にしない作業ですが、確かに楽器のケアとはいえ、あまりにも繊細で細やかな作業です。

途中、通りかかったホテルの人に、ご注意を受けてしまいました。「すっかり怪しい人だよね、、、」とは日本からの参加者で、某大学の助教授のご発言。そう、コンセントが見当たらず、廊下にしゃがみこんで、変圧器と電気コンロの上で竹のあやしい楽器を回していたら、それは・・・

そして、演奏を始めたところ・・・ミンイーが突然、はじかれたように立ち上がると、即興でダンスを始めたのです。


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