« そして笙(1) | トップページ | そして笙(3) »

2009年5月19日 (火)

そして笙(2)

笙の音は、めずらしいというだけでなく、その多様な倍音から、身体的な作用が大きいのかもしれません。

笙をソロで吹いたら、そばで聞いていた人が泣き出してしまった・・・ということはよく起こります。わたしだけでなく、似たような体験をした話を、同業者から聞きます。

「光が降る」ように聴こえるとはよく言われるのですが、どうしてそう感じるのか、わたしもまだよくわかりません。
おもしろいのは、演奏している側としては「光が降る」というより「光が昇っていく」ように思えることです。

昨年、「グループケアホーム」での演奏のご依頼を受けました。
叔母がお世話になっていることもあり、またいろいろとご縁もあって、引き受けさせていただきました。

とても感じのよい暖かなリビングのような場で、古典曲を中心に、のんびり、お話をしながら演奏させていただきました。

ところがノンストップで1時間半、演奏とお話を続けていると、その最後の頃に、認知症が進んでわたしのことを見てもまったくわからなかった叔母が、突然お話を始めたのです。

「あら、どうしたのかしら・・・」いつも付き添ってくださっているかたも、びっくりされていました。
何をしゃべっているのかわからないのですが、何か感心したようにつぶやいているのです。

こちらのほうが涙ぐんでしまいました。


« そして笙(1) | トップページ | そして笙(3) »

CD「祈りの海へ・・・」」カテゴリの記事