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2009年4月27日 (月)

笙の不思議(1)・・・孔雀石

笙は、17本の竹がお椀のような黒い木質部に直立しています。

うち、15本にリードがついていて、2本は飾り。大昔に大陸から伝来したときにはリードがついていましたが、日本人の好みに合わない音だったようで、はずしてしまったようです。

このリードに、孔雀石(マラカイト)という、きれいなグリーンの石の粉を塗ります。日本画の絵の具の原料になるくらい、きれいな色の石の粉ですが、この石の粉も、調律をする際に自分ですりおろします。するための器は「さわり」という金属でできたもの。実は、これは笙のリードと同じ材質なんです。

墨をするのと同じような感覚で、金属の器で何時間もかけて、すりすりすりすり・・・していくのです。まるで錬金術師にでもなった気分?

それにしても、いったい誰がこの「孔雀石」の粉をこの楽器のリードに塗るなどと、考えたのでしょう。役割としては、まずはリードの切り込み部分を埋めることで、息がそこから漏れてしまうのをふせぐこと。そして、さらに大切なのは、調湿効果。この石の粉は呼吸してくれます。冷たい金属のリードに息を吹きかけると、あっという間に結露します。

孔雀石を塗ったリードが冷えているときに(笙は、演奏前に、必ず楽器を暖めます)、はあっと息を吹き欠けると、さっと孔雀石が曇り、色が変わります。そしてしばらくすると、さあっと乾いてきます。湿気を吐き出してくれる。

でも、残念なことにこの調湿効果、ある程度の期間が過ぎると落ちてくるようです。わたしは「お取替えの時期」と呼んでいます(笑)。呼吸をするのがへたくそになってくる。そうなってくると今度は笙のピッチが狂いやすくなったり、吹いていてリードが重くなり、やたら演奏するのが苦しい楽器となります。

そうすると、笙の調律でも「洗い替え」と呼ばれる作業をしなければなりません。15枚のリードすべての孔雀石を筆やさまざまな道具で丹念に落とし、表と裏を塗りなおすのです。


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